構造規模:木造平屋 延べ面積:約270㎡
本計画は、障害をもつ2歳から18歳までの子どもを対象とした短期入居型グループホームの計画である。入居者は数日から数か月の期間、自立支援を受けながらこの施設で生活を送る。彼らにとって、親元を離れて暮らすのは初めての経験となる。
一般的には、男女の生活空間を明確に分け、それぞれ独立して過ごすプランが多く採用されるが、本施設ではオーナーの意向により、リビング・ダイニングは男女共用とした。社会参加を見据えた生活訓練の一環として、多様な他者との関わりをこの場で経験してほしいという願いが、この計画の根底にある。
平面計画においては、リビング・ダイニングを中心に据え、左右に男女の個室ゾーンを明確にゾーニングした。各ゾーン内には、小規模なコミュニティスペースを配置し、子どもたちが自ら居場所を選択できる多様性を確保している。
インテリア計画においては、個室を子どもたちにとっての「家」と位置づける一方、共用部には公園や街路のような外部空間の要素を取り込み、内部にいながらも開放感や発見のある空間体験を意図した。
また、24時間運営を前提とする施設であるため、ランニングコストの低減も重要な設計条件であった。日射・通風・採光のシミュレーションを重ねながら、平面計画および屋根形状を最適化し、環境負荷の低減と快適性の両立を図った。